竹だからといって全ての衣料品が環境にいいわけじゃない
日々シンプル化に関する情報収集をしているのですが、
ゼロウェイスト(ゼロ消費)の動画を見ていると頻繁に竹製品の紹介がされています。
たとえばこの動画では、竹繊維をつかった靴下の紹介をしていました。
彼女いわく、竹の靴下は履き心地がよくて地球にもやさしいため購入しているそうです。
日本では、竹が里山に大量発生しており本来の生態系を乱していること(竹害)は以前から知っていました。
彼女が言うように、もし竹繊維が地球環境にやさしく実用性のあるものであるなら、日本の竹害を解決する手段になるとおもい色々調べてみました。
日本にも竹繊維を扱う会社は複数あった
「竹 靴下」で調べてみると、
販売は楽天市場で多数おこなわれている上、製造していると思われる会社も出てきました。
その会社のある製品の素材をみてみると、
素材 レーヨン(TAKEFU)80%、ナイロン20%
とありました。
TAKEFUとは竹から作り出したレーヨンのことだそうです。
ナイロンが使われているので100%竹繊維を使用しているわけではないようです。
ナイロンは科学繊維なので、自然のものではありません。
そのため自然のものであるかどうかで言えば、答えはNOです。
しかし、ナイロンが20%含まれているからといってアウトであると断言するのはまったくよくありません。
ナイロンを使っているとしても、その生産と消費、再生産が地球の耐えれられる負荷量であるなら問題はありません。
その負荷量を測定することがむずかしいのですが、、、
ナイロンの話は今回は置いておきます。
レーヨンは地球環境に良いのか?
ナイロンよりも、レーヨン(TAKEFU)のほうが気になります。
そもそも、レーヨンとは何なのか。
わかりやすく説明してくれているサイトがありましたので載せておきます。
木材パルプを原料として、パルプの中の天然セルロースをアルカリ(苛性ソーダ)処理した後、二硫化炭素と反応させてセルロース誘導体をつくり、これをアルカリ溶液に溶解させて原液(ビスコースと呼ぶ)とし、この原液を細い孔が多数ある“口金”から酸性浴中に押し出し、繊維を形成させながら化学反応させて、セルロースを再生します。
レーヨンは、このような製法によるため、ビスコースレーヨン、または、ビスコースと呼んでいます。(引用)一般社団法人 化学繊維振興会(図・文章ともに)
今回は「竹」が上記の図の「木材」です。
簡単に言うと、竹を苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)でどろどろにしたものを、細くすることによってできたものが「竹レーヨン」のようです。
少し想像していたよりも化学的な工程を経ているようです。
レーヨンを作る工程で環境負荷が生じる
レーヨンの環境負荷に関して批判をするサイトが多数みつかりました。
たとえばこのサイト
製造時の環境への影響のため(製造時の二酸化炭素が発生する問題や、また、苛性ソーダ等の薬剤は劇薬に分類(直接触れると火傷したり、化学反応でガスを発生させたりするので、取り扱うのにはとても危険な代物です。)されており、環境汚染につながる恐れがあるなど)竹レーヨンを悪としている会社もあります。(参照:竹について思うこと(竹 ≒ 竹レーヨン・バンブーレーヨン ?!) | 麻福ヘンプ情報局
)
やはり、レーヨンは化学的な工程を経るのでどちらかというと環境にやさしくないものであるようですね。
竹はレーヨンにしなければ繊維化できないのか?
そもそもなぜ竹をレーヨンにする必要があるのか。
理由は簡単で、竹は節がありますよね。
その節のせいで、糸にするには短すぎるためです。
しかし、竹をそのまま糸にしている企業がありました。
こちらの靴下製造会社である「高井辰株式会社」は、レーヨンにすることなく竹100%をそのまま糸にしているようです。
が、詳しい情報がなにもかかれていないので、どのように竹を糸にしているのかはわかりませんでした。
おわりに
竹で作られた衣料品と聞くと、環境にやさしいグリーンなイメージがあります。
実際に竹は天然由来なので、100%土に還ります。
しかし、竹レーヨンであると話は複雑になります。
ですので、竹繊維だからといって短絡的に環境にやさしい、という思考は避けたいものです。
これはほかの例にも当てはまりますし、環境問題を語る上で非常に重要な視点です。
たとえば、リサイクルは環境問題対策の重要な手段ですが、リサイクルにも環境負荷が生じています。
しかし、そのことはあまり語られることはなく、リサイクルすれば環境にやさしいという短絡的な思考が促されていることは多々あります。
常に多角的な視野を持って物事を判断するチカラを養いたいものです。